登山やアウトドア中に起こる遭難救助。
もし自分が遭難したら、救助費用をいったい誰が払うのでしょうか?
「警察や消防なら無料?」「ヘリコプターを呼んだら高額?」「保険でカバーできる?」
──気になる疑問をすべて解説します。
実際にかかる金額や、民間救助・公的救助の違い、費用トラブルを防ぐ方法まで、知らないと困る情報をまとめました。
万一に備え、正しい知識を身につけましょう。
遭難救助の費用は誰が負担する?

登山やアウトドア中に遭難事故が発生した場合、まず気になるのは「救助費用を誰が負担するのか?」という問題です。
一般的な認識としては、山岳救助や捜索活動に出動する警察や消防などの公的救助機関による対応については、基本的に費用はかからないとされています。
一方で、民間業者や民間の救助機関による救助となると話は別です。
民間の救助活動やヘリコプターによる捜索には、実費として高額な費用が発生する場合があり、後日遭難者や家族に対して救助費用が請求されるケースも報告されています。
遭難場所や救助内容によって、誰が費用を負担するのか、またどの程度の金額がかかるのかは大きく変わります。
特に山岳遭難の場合は、注意が必要です。
基本的には自己負担?警察や消防は無料?
遭難救助では、警察や消防が出動する場合、基本的に救助費用は無料です。
これは日本における公的救助活動の大原則であり、費用請求が発生しないことがほとんどです。
ただし、遭難の場所や状況によっては例外もあります。
例えば、登山道から大きく外れた場所での捜索活動や、明らかにルール違反や禁止区域での行動による遭難の場合、一部の自治体では捜索費用を一部請求する条例を設けていることもあります。
さらに、民間の救助隊や民間ヘリコプターを要請した場合は、当然ながら自己負担となります。
こうしたケースでは、数十万〜数百万円単位の費用がかかることも珍しくありません。
事前に保険に加入しておくことや、遭難リスクを最小限に抑える行動が求められます。
山岳救助でかかる費用の内訳

山岳救助における金額は思っている以上に高額になることがあります。
特に、救助にヘリコプターや民間の救助機関が関与した場合、捜索活動のための多様な経費が発生します。
具体的には、ヘリコプターの出動費、人件費、交通費、装備費、場合によっては宿泊費なども加算されることがあり、合計で数十万〜百万円以上になるケースも珍しくありません。
また、救助の方法によっては、公的機関の対応範囲を超え、民間の救助サービスを利用しなければならないこともあります。
この場合、当然ながらその費用を遭難者側が負担することになります。
こうした費用負担について事前に知識を持つことが、遭難時のトラブル防止につながります。
ヘリコプター出動費用
山で遭難した場合、状況によってはヘリコプターによる救助が行われることがあります。
このヘリコプター出動には、非常に高額な費用がかかることが知られています。
公的機関(警察・消防)のヘリコプターが使用される場合は、原則として救助費用は無料です。
しかし、これが民間ヘリコプターによる出動となると、話は大きく変わります。
民間ヘリの出動費は、1回数十万円〜100万円超になることもあり、さらに移動距離や滞空時間に応じて追加料金が加算される仕組みです。
「どうしても助けたい」という気持ちから要請する民間ヘリですが、後から高額請求がされるリスクがあるため、慎重な判断が求められます。
民間救助隊や民間ヘリの料金
もし遭難した場所が難所であり、なおかつ公的機関が対応できない場合には、民間救助隊や民間ヘリコプターへの依頼が必要になります。
このとき発生する救助費用は、原則として自己負担です。
民間救助隊の料金体系は、
- 捜索活動時間
- 人数
- 機材使用料
- 夜間救助加算
などによって細かく決められていることが一般的です。
たとえば、1日あたり数十万円+ヘリコプター使用料というケースも珍しくありません。
また、現場までの移動交通費や、救助員の宿泊費などが追加で請求される場合もあります。
このような高額請求に備えるためにも、事前に山岳保険や登山保険への加入を検討しておくことが重要です。
保険によっては、民間救助費用をカバーしてくれるプランもあります。
併せて読まれています:
なぜ?山で遭難しても見つからない理由|遺体・保険・家族の現実と備える方法とは
遭難しても費用が請求されないケースとは

遭難救助において、必ずしも費用が請求されるわけではありません。
状況によっては、救助活動にあたった機関から費用を請求されないケースも存在します。
代表的なのは、公的救助機関(警察、消防)が行う捜索活動や救助活動です。
たとえば、通常の登山道で遭難し、通報を受けた警察や消防が捜索に出動した場合、基本的には費用は発生しません。
また、遭難の原因が不可抗力によるものであり、かつ過失がないと判断された場合も、費用請求がされないのが一般的です。
日本では、「遭難者救助は公共の責務」という考えが根付いているため、山岳救助活動において無償対応となるケースが多くなっています。
公的救助と民間救助の違い
ここで重要なのは、公的救助と民間救助の違いです。
- 公的救助(警察・消防) → 基本的に無料
- 民間救助(救助業者・民間ヘリ) → 原則自己負担(費用請求あり)
公的救助の場合、遭難発生の通報を受けたら、警察機関や消防機関が捜索を開始します。
この際、ヘリコプターの出動や救助隊員による活動が行われても、費用が請求されることは基本的にありません。
一方、救助対象者の要望や、場所的な制約(民間ヘリの出動が必要なエリア)によって民間救助を要請した場合、
そのすべての経費(人件費・装備費・交通費)が遭難者側に請求される仕組みとなっています。
遭難時には、どちらの救助機関に依頼するかで、最終的な費用負担が大きく変わるため注意が必要です。
遭難時の捜索活動と費用発生の流れ

山で遭難事故が発生すると、まずは家族や同行者が捜索願を提出する流れになります。
この捜索願自体に費用はかかりませんが、その後の捜索活動によって費用が発生するケースがあります。
一般的には、警察や消防による捜索は公的活動のため無料です。
しかし、行方不明者の捜索に時間がかかる場合や、危険地域での捜索活動が必要になった場合、場合によっては民間救助隊への依頼が行われることもあります。
民間による救助活動では、人件費・装備費・交通費・ヘリコプター費用などが発生し、これらは基本的に遭難者側に請求されることになります。
つまり、どのタイミングで民間救助に切り替わるかによって、費用負担が大きく変わるのです。
山岳遭難者に対する保険料とカバー範囲

もしもの山岳遭難に備えるため、山岳保険や登山保険に加入しておくことが重要です。
これらの保険では、遭難救助費用をカバーするプランが存在します。
一般的に、山岳遭難者が支払う保険料は年間数千円〜一万円程度。
加入していれば、の救助活動費用、ヘリコプター出動費用、宿泊費や交通費なども補償範囲に含まれる場合があります。
また、家族型プランであれば、同行者の遭難費用までカバーできるものもあります。
の遭難に備えた万全な対策として、登山を始める前に必ず保険加入を検討しましょう。
併せて読まれています:
道迷い遭難の原因と対策|事例・体験談から学ぶ安全な登山
山で遭難したとき、費用が払えない場合どうなる?

「万一、山で遭難し、救助費用を支払えなかったらどうなるのか?」
これは多くの人が気にするポイントです。
基本的に、民間の救助はサービス提供者との民事契約に基づく請求となるため、払えない場合は分割払いの交渉や、場合によっては法的手続き(訴訟)に発展するリスクもあります。
また、救助費用が高額になったために自己破産に至った事例も、過去には報告されています。
「払えない」ことを前提にするのではなく、事前に保険で備えることが現実的なリスクヘッジと言えるでしょう。
救助にヘリコプターを呼ぶといくらか?
救助活動において、ヘリコプター出動が必要となると一気に高額になります。
公的ヘリ(警察・消防)なら原則無料ですが、民間ヘリコプターを要請した場合、
- 出動料(数十万円)
- 滞空時間料金(1時間あたり10万〜30万円)
- 救助員搭乗費用
といった具合に、一回で100万円を超えるケースも珍しくありません。
遭難現場までの距離や、捜索にかかる時間によって総額は大きく上下するため、現地自治体や民間業者のガイドラインを確認しておくことが大切です。
捜索願を出すと遭難救助費用はかかるのか?

結論から言うと、捜索願の提出自体は無料です。
これは警察署への無料申請です。
ただし、捜索願の提出=即無料で全力捜索というわけではありません。
状況によっては、警察だけでは捜索が困難な場合に民間救助への協力依頼がなされることがあり、
その際の救助費用は、遭難者本人や家族に後から請求される可能性があります。
そのため、捜索願を出したあとも、費用が発生する可能性があることを認識しておく必要があります。
遭難費用に関する意見はさまざま

最後に、遭難時の救助費用負担については、社会全体でも意見が分かれるテーマです。
「自己責任だから高額請求も当然だ」という声もあれば、「救助は公的サービスとして無料にすべきだ」という考え方もあります。
いずれにせよ、私たち登山者やアウトドア愛好者にできるのは、
- 遭難しないための備えを徹底すること
- 万一に備えて保険に入ること
これに尽きます。
自然を楽しむすべての人が、安全に帰れる社会を目指したいものです。
遭難しても助かるために|かけつけSOSという選択肢

万が一、遭難してしまった場合──
迅速な救助要請と位置情報の共有が、生死を分ける大きなカギになります。
「かけつけSOS」は、遭難時にワンタッチで家族やあなたが登山している地域の仲間に現在地を通知できる緊急連絡アプリです。
特に、山や海、川など場所でもグループ単位で迅速に救助を呼びかけることができます。
「備えあれば憂いなし」。
安全な登山・アウトドア活動を楽しむために、万一に備えたツールとしてかけつけSOSを活用してみてはいかがでしょうか?
これから登山をする山などのグループに入ってもしもの時に備えましょう。
かけつけのオフィシャル救助グループ:https://kaketsuke.help/rescue_group/