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【漁師事故の実態と安全対策】死亡率と行方不明から命を守る方法

海の上で命を懸けて働く――。
それが漁師という仕事です。

実は、漁師は日本国内の職業の中でも特に死亡率が高い仕事のひとつ。
船が転覆したり、作業中に海へ落ちてしまったりと、毎年のように「行方不明」や「死亡事故」がニュースになっています。

特に近年は高齢化が進み、単独での操業や万が一に備えない現場が少なくありません。
「もし船から落ちたら?」「夜間に気づかれなかったら?」「仲間と連絡が取れなかったら?」

ーーそのとき、助けを呼ぶ手段はあるでしょうか?

この記事では、

  • 漁師の死亡事故がなぜ多いのか
  • 船の転覆や落水がどれだけ危険なのか
  • 命を守るための現実的な対策とは何か

をわかりやすく解説します。

目次

漁師という仕事の危険性とは?

高波に揺れる小型の漁船。漁師事故や海上の危険を象徴するイメージ

漁業は自然を相手にする仕事です。
天候の急変や波の高まり、そして船の転覆事故。
これらは漁師にとって、日常に潜む重大なリスクです。

2022年の海上保安庁の発表によれば、全国で発生した漁船の海難事故は年間400件以上
そのうちの多くが、転覆・落水・衝突などによって引き起こされており、発生件数はほぼ毎年横ばいのまま。

中でも、青森県沖や津軽海峡周辺の海域は潮の流れが急で、過去に多数の事故が報告されています。

死亡率・行方不明の現実

座礁した船が古くなり錆びて打ち上げられている

漁業は全産業の中でも死亡率が圧倒的に高い職業です。
厚生労働省の統計によると、建設業と比較して約3倍の死亡率という数値が出ています。

事故の結果、死亡だけでなく行方不明になるケースも多く、帰ってこないままの乗組員も少なくありません。
というのも一人で漁にでる漁師さんも多く、事故が起きたことを周りの人たちが知らないケースも多いのです

こうした現実は、漁師本人だけでなく、その家族や地域社会全体に深刻な影響を与えています。

漁師の事故が多発する背景

海上で船が燃えている。エンジントラブルか

漁師の死亡事故は、他産業と比較しても極めて高い水準にあります。特に転覆や落水といった事故が多く、統計上も「行方不明」「死亡」で処理されるケースが多発しています。

厚生労働省の「労働災害統計」や海上保安庁の資料によると、漁船事故の主な原因は次のように分類されます。

転覆事故の割合と原因

漁船事故の中でも特に多いのが「転覆」です。波の高さ、天候の急変、積載バランスの崩れが原因となり、突然の転覆に至るケースが多発しています。平均的な小型漁船は波高1mでも大きく揺れ、海に投げ出される危険性が常にあるのです。

海上保安庁の報告では、年間で発生する漁船事故のうち、約40%が転覆・沈没を伴うもので、事故時にライフジャケットを着用していない割合も高いとされています。

事故の原因と内訳統計データ

以下は、最近5年間の漁船事故で多く見られた原因の一例です:

【事故原因の内訳まとめ】

主な事故原因割合(目安)
機関故障(エンジン・操舵系)約25%
波浪・悪天候約20%
ヒューマンエラー約30%
航行ミス・衝突約15%

※割合は参考値であり、年度や地域によって変動があります。

これらのうち、「点検不足」「疲労」「長時間操業」など、人的要因に起因する事故は少なくありません。とくに高齢の漁業者が多い地域では、判断ミスや操作ミスによる事故が目立ちます。

着用率が課題の救命胴衣

命を守る救命胴衣ライフジャケットが多く吊るされている

命を守る最も基本的な装備が「救命胴衣」です。
法改正により、原則すべての漁師が着用義務を課せられていますが、現場ではまだ着用率が十分とは言えません。

理由はさまざまです。
「動きにくい」「暑い」「作業効率が落ちる」など、長年の習慣と現実の厳しさが背景にあります。

しかし、海上で転覆事故が発生した際、生存率に大きく関わるのが救命胴衣の有無です。

地域の取り組みと漁協の役割

GPSトラッカーを使って自分の位置情報を把握している

たとえば大間漁協では、若手漁業者を対象にした安全講習や海難訓練を実施しています。
また、過去の事故データを分析し、「リスクの高い海域マップ」を作成して新人に配布するなどの取り組みもあります。

津軽海峡を抱える青森県では、近年、自治体・漁協・海上保安庁が連携した取り組みが強化されつつあります。

労災制度の壁と保障の不在

船からみる穏やかな海の景色

漁師は「個人事業主」として扱われることが多く、一般的な労災保険の対象外になるケースが多く見られます。

事故で命を落とした場合、遺族が経済的補償を受けられない事例もあり、それが地域の人口減少や若者離れの一因にもなっています。

漁協によっては共済制度や保険制度を設けているところもありますが、加入率はまだ高くありません。

海上保安庁・巡視船の活動

緊急時に出動する海上保安庁や海上巡船

海難事故が発生した際、現場に急行するのが海上保安庁の巡視船です。
捜索・救助にあたるプロフェッショナルの存在は心強いですが、天候によっては出動が遅れることもあります


そのため、事故前にできる予防的な備えの重要性がますます高まっています。

家族の声と日常の不安

網を掲げ海に入っている漁師

「今日も帰ってきてくれれば、それでいい。」
これは、青森県在住の漁師の妻が語った言葉です。

家族にとって、漁業とは常に不安と向き合う日々
出港前、「救命胴衣を着けてね」「今日は風が強いから気をつけて」と声をかけるのが日課になっている家庭も増えています。

命を守る行動リスト

夜の浜に並んでいる漁船
  • 出漁前の気象情報の徹底チェック

  • エンジン・無線・GPSなどの点検

  • 航行エリアの危険ポイント共有

  • 救命胴衣・防水ホイッスル・ライトの携行

  • 漁協・仲間との定期的な情報交換

事故を防ぐには「当たり前の行動を当たり前にやる」ことが最も効果的です。

安全対策の一覧まとめ

以下は、漁業現場で実際に取り入れられている代表的な安全対策と、その効果・備考をまとめたものです。

対策内容効果・目的備考
自動膨張式ライフジャケットの着用落水時の浮力確保・死亡率低下義務化されている地域もあり
SOSボタン付き見守りデバイス緊急時に家族・関係者へ位置情報通知IPX8防水/GPS付き推奨
スマホSOSアプリの活用緊急時の位置共有・通知送信無料アプリも多数
漁業災害補償制度への加入事故後の経済補償各地の漁協で対応
定期点検・機関チェック機械故障の予防小型船ほどこまめな点検が必要

こうした対策を一つずつ導入することで、死亡事故の予防や、事故後のリスク軽減につながります。各対策の有効性については、今後も現場の声や統計データをもとに調査・検証が必要です。

まとめ:命あっての漁業

最近まで使われているだろう小型船

漁師は誇り高い仕事ですが、同時に命と常に向き合う職業でもあります。
だからこそ、自分の命、仲間の命、家族の未来を守る行動を日々積み重ねることが大切です。

「帰ってくるのが当たり前」の日常を、全国すべての漁師と家族に。

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