
「カヤックフィッシングをやめた」。
ネット上にはそんな声が少なくありません。
「自由で気持ちいいはずだったのに、怖かった」「事故に遭いかけて本気で後悔した」——。
海という自然を相手にする以上、思わぬ危険が潜んでいるのが現実です。
実際、ライフジャケットを着けていなかった、波や風を甘く見ていた、という理由で転覆や漂流などの事故は毎年発生しています。
安全に楽しめる釣りだからこそ、“やめる人がいる理由”には耳を傾ける価値があるのです。
この記事では、カヤックフィッシングをやめた人たちのリアルな声や、実際に起きた事故、後悔しないための安全対策について解説します。
これから始めようと思っている方も、すでに続けている方も、「命を守る」視点からぜひ読んでみてください。
カヤックフィッシングやめた人のリアルな声とは?

実際にやめた理由ランキング【SNS・ブログ調査より】
「カヤックフィッシングをやめた」という声には、共通点がいくつもあります。
特に多かったのは「事故に遭いかけた」「怖くて楽しめなくなった」といった“安全面”に関する理由です。
以下に、やめた理由の中で多かった意見をまとめました。
転覆や漂流の経験があり、命の危険を感じた
風や波の強さを甘く見ていた
再乗艇できず、パニックになりかけた
周囲に誰もいない状況でパドリング中に不安を感じた
家族やパートナーから強く反対された
一見自由で楽しそうなカヤック釣りですが、「一人での活動」「自然相手」という要素が重なることで、命に関わるリスクがあることに気づく人も多いようです。
よく聞く後悔「命に関わる怖さがあった」

体験談では「ライフジャケットを着けていたから助かった」「予報を見ずに出たら波が急に高くなった」という声も目立ちます。
安全装備を軽視したことで命の危険を感じた体験が、カヤックフィッシングから離れる大きなきっかけになっています。
中には、「クーラーボックスの荷物が重すぎてバランスを崩した」「アオリイカのポイントまで行ったけど、風が強すぎて帰れなくなった」など、ほんの小さな判断ミスが事故の一歩手前に繋がっています。
カヤック釣りの「自由度」よりも「リスク」を重視
「他の釣りと違って自由度が高いのが魅力」と言われるカヤックフィッシング。
しかし、その“自由”は裏を返せば“誰も助けてくれない”ということでもあります。
天候の変化に気づかないまま沖に出てしまったり、ドレンプラグの確認不足で浸水したりと、油断が大きな事故につながるケースが多発しています。
自由であることは魅力ですが、それ以上に「安全性」や「再乗艇スキル」「準備の徹底」が求められる釣りなのです。
カヤックのどんな事故があった?実際の「事例」を紹介

代表的なカヤック事故3選(転覆/漂流/衝突になった例)
カヤックフィッシングで起きる事故の中でも特に多いのが「転覆」「漂流」「衝突」です。
転覆は、風や波が予想よりも強くなった時に起こりやすく、再乗艇スキルが未習得の場合は命に関わる重大なリスクになります。
漂流事故の多くは、アンカーの設置不備や、風に流されて戻れなくなるケース。
また、小型ボートや漁船と衝突する事故も毎年のように報告されています。
いずれも「自分は大丈夫」と思っていた人が被害に遭っています。
「足漕ぎカヤック」でも安心できない理由
最近人気の足漕ぎカヤックは、手を使わずに進めるため「初心者にも扱いやすい」と言われています。
しかし、艇が重く波に乗りづらいため、いったんバランスを崩すと立て直しが難しくなります。
また、ペダルやシートの構造上、再乗艇がしにくいタイプも多いため注意が必要です。
「漕ぎ出すのは簡単、でも戻ってこれない」という事例も少なくありません。
ライフジャケット未着用が招いた悲劇
海上保安庁の発表によれば、過去の死亡事故の多くはライフジャケットを着けていなかったことが原因です。
わずかな距離だからと油断し、波や風に足を取られて海へ落ちたあと、再乗艇ができずそのまま……というケースは後を絶ちません。
中には「ドレンプラグの閉め忘れ」で艇内に水が入り、バランスを崩して転覆というパターンもあります。
命を守るためには、どんなに短時間でもライフジャケットの着用は“絶対”です。
実際の事故では「発見時にはカヤックと人が数百メートル離れていた」ケースあり

- 海保の救助記録では、落水者とカヤックが300m以上離れて漂流していた例もあります。
- 特に無風→突風、または沖での釣り中のケースが多いです。
落水直後にカヤックと体が並んでいても、カヤックは浮力が高く、風の影響を受けやすいです。風速3〜5m/sくらいでも、数十秒で10〜20m流されてしまいます。
カヤックフィッシングを続けるなら最低限の「安全対策」を

セルフレスキューはできるようにしておく
万が一の転覆に備えて、「自分でカヤックに戻る技術=セルフレスキュー」は必須です。
特に足漕ぎカヤックや大型艇では、再乗艇が難しくなることも多く、練習せずに海へ出るのは非常に危険です。
ライフジャケットを着けていても、セルフレスキューができなければ漂流するだけ。
初心者こそまず「安全に戻る練習」からスタートすべきです。
再乗艇の練習をしておく理由とは
実際の海上では、波や風の影響で静水域とは全く異なる状況になります。
再乗艇の難易度は風速や波高に比例して上がり、体力・バランス感覚・パドル操作すべてが試されます。
沖での再乗艇に失敗すると、最悪の場合そのまま流されるリスクもあります。
岸近くで再乗艇の練習を繰り返しておくことで、自信と安全性がぐっと高まります。
必須装備:ライフジャケット/アンカー/ドレンプラグ / SOS-GPSボタン

事故を防ぐためには、装備面での対策も欠かせません。
中でもライフジャケットの着用は絶対条件。海上保安庁も着用を強く推奨しています。
加えて、艇が流されないよう「アンカー」、浸水を防ぐ「ドレンプラグ」の確認も毎回行いましょう。
ちょっとした確認不足が、大きな事故に繋がることもあります。
自分が危ないかも?要チェックな人の特徴

こんな人は特に注意!体力・技術・経験が不十分な人
カヤックフィッシングは「手軽にできそう」と思われがちですが、一定の体力や技術、そして経験が必要なアクティビティです。
たとえば、再乗艇に必要な上半身の筋力、パドル操作、足元のバランス感覚など、どれかが欠けても事故のリスクは大きくなります。
特に、初めて海に出る方や、泳ぎに自信がない方は、想定以上に疲労しやすく、転覆時にパニックになるリスクが高まります。
「風」と「波」を甘く見るな
事故の多くは、風速・波高を軽視した判断ミスから発生しています。
出航時には穏やかだったとしても、30分後には風が強まり、波も荒れてくることは珍しくありません。
「岸まで戻れると思ってたのに、向かい風で進めなくなった」という体験談も多くあります。
風と波は「その日の判断」だけでなく、「予報」もチェックして判断する必要があります。
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「予報を見ない」「準備不足」は命取りに
天気や風向きの予報を確認しないまま出航するのは、命を預ける行為といっても過言ではありません。
また、必要な装備を持っていない、ドレンプラグやライフジャケットをチェックしないなど、ちょっとした準備ミスが事故に直結することもあります。
「今日は行けるだろう」「たぶん大丈夫」といった油断は、取り返しのつかない事態を招きます。
パドリング技術が不安ならまず陸上で練習を

足漕ぎや手漕ぎに関わらず、カヤックを自在に操作できるかどうかは安全性に直結します。
特に、風に押されながら狙ったポイントに向かうときや、波を越える場面では、パドリングのコツと筋力が試されます。
「片側だけパドルが効かない」「パニックになって方向転換できない」などの状況に備えるには、事前の練習が不可欠です。
陸上でのフォーム確認や静水域でのトレーニングも効果的です。
後悔しないための「カヤック釣り」の始め方・やめ方

まずは陸上トレーニングから始めよう
いきなり海に出るのではなく、静水域や陸上でのパドルトレーニングから始めるのがおすすめです。
艇の上での体重移動やパドリングの感覚、バランスの取り方を事前に練習しておくことで、不安感は大きく減ります。
また、ドレンプラグやライフジャケット、パドルリーシュなどの装備の使い方も陸上で確認しておきましょう。
“最初の一歩”で事故のリスクは大きく下げられます。
「続けるかやめるか」は“気持ち”より“安全性”で判断を
「怖い思いをしたけど楽しかった」「またチャレンジしたい」と思うかもしれません。
でも、命を落としてからでは遅いのです。
やめることは“逃げ”ではありません。
「準備不足の自分では危険だ」と判断することは、最も理性的な判断です。
安全な状態で「またやりたい」と思ったときに再開すればいいのです。
SNSやブログで経験者の声をチェックしておこう
カヤックフィッシング経験者の体験談や事例紹介は、教科書以上の価値があります。
「この荷物の積み方で転覆した」「海上保安庁に救助された」「再乗艇の方法をブログで知って助かった」など、リアルな声がSNSやブログには溢れています。
信頼できる実店舗で道具を揃えたうえで、「装備・場所・天候・時間・釣りスタイル」に合った行動を心がけましょう。
「やめたほうがいいかも」と思ったら迷わず中止を

当日の天気や風、波の予報を見て「今日はやめようかな」と思ったら、迷わず中止しましょう。
無理して出た結果、漂流や転覆、遭難といった“事例”の当事者になる可能性があります。
ときには思い切ってやめる判断も、長く安全にカヤック釣りを続けるためには欠かせないスキルです。
スタイル別のカヤックフィッシング、リスクと安全対策

静水(湖・湾内)の釣りスタイルと安全対策
風が穏やかで流れも少ない湖や湾内は、カヤックフィッシングの入門者に人気のエリアです。特にブラックバスやチヌ狙いの釣りスタイルでは、静水域の自由度が大きな魅力となっています。しかし「流されない」と油断した瞬間、風向きが変わればあっという間に岸から離されてしまいます。
こうした静水エリアでも、ライフジャケットの着用は必須です。さらに、アンカー(いかり)を使えばポイントをキープしやすくなりますが、万が一のときに素早く切り離せるタイプを選ぶことが重要です。事故の事例では、アンカーが岩に絡まり転覆したケースも報告されています。
沖に出る釣り(オフショア・潮流エリア)のリスク
潮の流れが強い沖合や外洋エリアは、ジギングやタイラバなどの釣りスタイルに人気があります。しかし、これらのスタイルは「魚が釣れる場所=危険が潜む場所」でもあります。
強風によってパドリングが困難になる、急な波が立つ、転覆時に岸へ戻れなくなるといったリスクが高くなります。万が一カヤックから落水してしまった場合、「再乗艇」ができなければ命に直結します。
安全対策としては、ドレンプラグによる船内の水管理、GPS付きの見守りデバイスやホイッスルの携帯、海上保安庁への航行届の提出などが挙げられます。
足漕ぎカヤック vs パドリングの違いと転覆リスク
近年、注目を集めているのが足漕ぎカヤックです。手を使わずに移動できるため、釣りに集中しやすく、長時間の使用でも疲れにくいという利点があります。ただし、足漕ぎタイプは船体が高く風の影響を受けやすい傾向があるため、風速の確認が欠かせません。
一方、パドリングによる操作は慣れれば小回りが利き、細かな位置調整が可能です。どちらも一長一短ですが、重要なのは「転覆したときに再乗艇しやすいかどうか」という視点です。モデルによっては再乗艇が非常に困難な設計もあるため、購入時の比較検討が命を守る行動になります。
釣りスタイル別(エギング/ジギング/タイラバ)の装備・注意点
エギング(イカ釣り)は、しゃくる動作でバランスを崩しやすいため、潮流がある場所での立ち上がりは危険です。
ジギングは重いメタルジグを使用するため、風の影響でロッド操作が難しくなり、落水のリスクが高まります。
タイラバは比較的穏やかな操作が多いものの、ヒット後のファイトが長引くことでカヤックが横流れし、不安定になりやすいです。
いずれのスタイルでも、体力と装備の準備が必須です。釣行前には、必ず装備やポイントのリスクをチェックしましょう。
再乗艇できるかが命を分ける
繰り返しになりますが、カヤックフィッシングで最も大切な安全対策は「再乗艇ができること」です。いくら装備を整えていても、再乗艇ができなければ助かる可能性は極めて低くなります。
おすすめの練習方法は、浅場(岸から数メートル)で転覆を想定した再乗艇トレーニングを行うことです。ウェットスーツやライフジャケットを装着した状態で、水中の自分の動きやすさを確かめておくと安心です。
過去のカヤックフィッシング事故から学ぶ安全対策

カヤックフィッシングは、自然との一体感を味わえる反面、海の状況次第で命に関わる事故につながることもあります。特に、釣り人の多くが「ちょっと沖まで出るだけなら大丈夫」と考えがちですが、その油断が大きなリスクになります。
たとえば、
2024年7月、千葉県館山市で発生した事故では、カヤックフィッシング中に強風で転覆した男性が帰らぬ人となりました。このニュースはyahooニュースでも大きく取り上げられ、多くのカヤックアングラーに衝撃を与えました。
また、
2023年9月には愛知県蒲郡市で2人の釣り人が転覆し、1名が行方不明となる事故も発生しています。いずれも共通していたのは、出航前の風や波の確認不足、そして単独行動や連絡手段の未整備でした。
事故を未然に防ぐためには、以下のような対策が必要不可欠です。
天候・潮汐・風の確認を怠らないこと。
ライフジャケットは絶対に着用すること。
転覆後の再乗艇トレーニングをしておくこと。
スマホやVHF無線を防水パックで携行すること。
パドルリーシュやドレンプラグといった小物類の見直しも怠らないこと。
そして忘れがちですが、カヤック本体の保管場所も重要です。海沿いに適切なスペースがない場合、出艇のたびに手間がかかり、天候が変わりやすい時間帯に出航するリスクも高まります。
こうしたリスクを軽減するには、スクールや経験者からの情報収集も役立ちます。特に再乗艇やセルフレスキューの技術は、命を守る最後の砦となります。
パニック状態にならないために知っておきたい対処法

カヤックフィッシング中、転覆してしまったとき——
再乗艇が難しい状況に直面すると、誰でも不安になり、パニックに陥りがちです。
でも実際に「命を守る」ためにやるべき行動は、とてもシンプルです。
浮いて落ち着く「浮いて待て」が基本
海での事故の場合、ライフジャケットを着ていれば、むやみに泳がず“浮いて待つ”のが原則です。
仰向けになって大の字で浮き、体力を温存しながら呼吸を整える。これが何よりも大切な行動です。
「泳がなきゃ」「戻らなきゃ」と焦る気持ちが命取りになります。
備えがあれば、じっとしていても助かる。だからこそ“落ち着くこと”が命をつなぐ最初の一歩です。
川や流れのある場所では、浅場を目指す判断も
一方、川や急流では「浮いて待て」が通用しないこともあります。
その場合は、流れを見ながら、無理のない範囲で浅瀬や岸を目指す判断が必要です。
とはいえ、無理に逆らって泳ぐのはNG。
流れに乗りながら安全な方向へ流されるのが、結果的に生存率を高めます。
周りに人がいない時は「助けを呼べる」手段があると落ち着ける
実際に事故に遭ったとき、周囲に誰もいないことが最も怖い状況です。
ですが、自分の位置を知らせる手段があるだけで、心の余裕が生まれます。
そこで役立つのが「かけつけ」アプリとGPS端末です。
アプリ版(現在ios版のみ)
スマホでSOSボタンを長押しするだけで、リアルタイムで現在地を家族や仲間に通知。
行動不能になっても、仲間に知らせて助けを呼ぶことができます。端末版(夏リリース予定)
IPX8等級の防水設計・100g以下の超軽量。
SOSボタンを押せば、10秒ごとに現在地を発信し続けます。
まとめ:カヤックフィッシングをやめた理由と命を守る行動とは

カヤックフィッシングを「やめた」という声の多くは、実際に事故やヒヤリとした経験をした**リアルな“生きた声”**です。
その背景には、準備不足・過信・突然の天候変化など、予想もしなかったリスクが潜んでいました。
けれども、やめる=逃げではありません。
本当に大切なのは、「今の自分に必要な備えがあるか」を判断することです。
落水時に命を守る3ステップ
焦らず落ち着くこと
海なら“浮いて待つ”、川なら“流れに逆らわない”
助けを呼べる手段を持っておくこと(かけつけアプリ/端末)
これらが揃っていれば、「やめる」ではなく「続ける」選択肢も見えてくるはずです。
是非、しっかり準備をして自然の中で遊ぶからこそ、安全という土台があって初めて、釣りの楽しさが活きるのです。