漁師という仕事に、どんなイメージを持っていますか?
「海の男」「厳しい仕事」「魚を獲る人」——
そんな漠然とした印象を持つ方も多いでしょう。 しかし、実際の漁業は多様で、働き方も人によってさまざまです。
本記事では、漁師の仕事内容、なる方法、年収のリアル、やりがいまでを総合的に解説。これから漁師を目指す人や、漁業に興味を持っている方に向けて、現場の実情を丁寧にお伝えします。
漁師になるには?未経験からでも目指せる

国家資格は不要、でも免許や技術は必要
漁師になるために国家資格は必要ありませんが、漁船を操縦する場合は「小型船舶操縦士免許」が必須です。
また、漁獲物を市場や直売所に運ぶ際に「普通自動車免許」が求められるケースも多くあります。
漁法によっては、網の扱いや魚の締め方などの技術が求められるため、研修やOJTで学ぶことが一般的です。
体力や粘り強さがあれば、未経験からでもチャレンジできます。
最初の一歩は漁業協同組合(漁協)への相談

漁師を目指すなら、まずは地域の漁業協同組合に相談するのが近道です。
漁協では、定置網漁やまき網漁などを行う地元漁師の下で働ける制度がある場合もあり、地域ぐるみで新人漁師をサポートしてくれます。
就業体験や見学を受け入れている地域もあるため、「どんな仕事かまず知りたい」という段階でも相談しやすいのが特徴です。
移住支援や研修制度を活用しよう
地方自治体の中には、新規就業者向けに手厚い支援を行っているところもあります。
たとえば、住居費の補助、漁具・作業着の支給、生活費の一部を支援する制度などがあり、特に若者やU・Iターン者に人気です。
また、研修制度を通じて実際に漁船に乗り、仕事を覚えながら技術を身につけられる仕組みも整いつつあります。
求人サイトや自治体の情報も要チェック
漁師の求人情報は、ハローワークや地方自治体の就業支援センター、そして「漁師.jp」のような専門サイトでも探すことができます。
寮付き・未経験OK・女性歓迎など、条件が明確に記載された求人も多く、希望に合った働き方を見つけやすくなっています。
応募する際は、漁業の種類(定置網漁・遠洋漁業・養殖業など)や、作業内容、労働時間、支援制度の有無をしっかり確認しましょう。
漁師の年収・生活費のリアル

年収は200万〜600万円と幅広い
漁師の年収は、漁業の種類や魚の獲れる量、地域によって大きく異なります。
たとえば、定置網漁やまき網漁のように安定して漁獲できる方法では、収入も比較的安定しやすい傾向にあります。
一方、釣り漁や刺し網漁などは魚の種類や漁場の環境に左右されやすく、収入も変動しがちです。
特に沿岸漁業では日々の漁獲量が影響しやすいため、年によって年収の上下があるのが実情です。
一般的には、年間200万円〜600万円の範囲が多いですが、遠洋漁業などで長期航海を行う場合は、それ以上の収入を得る人もいます。
魚の価格と漁期が収入を左右する
漁師の収入は、魚をどれだけ獲るかだけでなく、「どの魚をいつ獲るか」も大切です。
例えば、ブリやサンマ、マグロなどは漁期に応じて高値がつきやすく、旬の時期に一気に稼ぐスタイルもあります。逆に、価格が安定しない魚種に依存していると、収入は不安定になりがちです。
また、水揚げされた魚をそのまま市場に出すのか、加工品として販売するのかによっても単価が変わるため、販売方法による収益差も見逃せません。
副業や収益の多角化で安定を目指す人も

近年は、漁業一本ではなく、他の収益源と組み合わせて安定した収入を目指す漁師も増えています。
たとえば、獲った魚をそのまま出荷するのではなく、自ら直販サイトで売ったり、観光漁業として釣り体験や漁船体験を提供することで、収益を分散させています。
また、養殖業との兼業や、海産物を使った加工食品の製造・販売に取り組む人も多く、いわゆる“6次産業化”による収入の底上げを図る動きが活発です。
ICT・GPS技術の活用で効率アップ
漁業もデジタル化が進んでおり、ICTやGPS機器を活用して魚群の位置を把握したり、海水温のデータを分析して漁場を特定するなど、テクノロジーを活かした漁が広がりつつあります。
これにより、燃料費や時間のロスを抑え、効率よく漁を行うことで、収入アップとコスト削減の両立を図ることができます。
若手漁師を中心に、こうした新しい漁法への関心も高まっています。
生活費や支出面も重要なポイント

収入の裏には、日々の支出もあります。
特に漁師の場合、網や漁具の修繕・購入、漁船の燃料費や整備費、漁業権の維持費など、専門的なコストがかかります。定置網などは定期的な交換やメンテナンスが必要で、予想以上に出費がかさむことも。
また、地域の漁業協同組合に対する出資金や共同費用、保険代などもかかるため、収入が高くても「可処分所得」が思ったほど残らないケースもあります。
自治体による支援制度を活用しよう
地方では、漁業就業者向けの支援制度が充実している地域もあります。
たとえば、新規就業者に対する住宅支援、漁具の購入補助、移住支援金などが用意されており、生活コストを抑えながら漁師としてのキャリアをスタートできます。
これらの制度は各自治体や漁協によって異なるため、「移住×漁業」を検討している人は早めに情報収集を行うことが大切です。
漁業の種類とそれぞれの特徴

漁師の働き方やライフスタイルは、どの「漁業種類」に従事するかによって大きく変わります。
日本には主に「沿岸漁業」「沖合漁業」「遠洋漁業」という3つの区分があり、それぞれに特徴があります。
ここでは、それぞれの漁業の内容や漁場、対象となる魚介類の違いについて解説します。
沿岸漁業:地域に根ざした日帰りの仕事
沿岸漁業は、主に陸から近い海域で行われる漁業で、漁場は港から数キロ圏内のことが多いです。
日帰りで作業を行うことができ、地元の漁港や漁村と密接に結びついた働き方です。
主な漁法には、定置網漁、刺し網漁、釣り漁などがあります。
対象魚種はサバ、アジ、イカ、タイ、ウニ、アワビなどの地域の海に生息する魚介類が中心です。
季節や潮の流れに合わせた柔軟な働き方が求められますが、その分、地域に根ざした暮らしができるのが魅力です。
沖合漁業:中規模の船で数日間の航海

沖合漁業は、沿岸よりもやや沖合にある漁場で数日間の航海を行う漁業です。
漁船のサイズは中型で、漁場は日本の排他的経済水域(EEZ)内が主なフィールドとなります。
使用される漁法には、まき網漁や底引き網漁などがあります。
サンマ、イワシ、スルメイカなど、回遊魚の漁獲に適しており、比較的大量に漁獲できるのが特徴です。
遠洋漁業:世界の海で行うダイナミックな仕事
遠洋漁業は、日本から何千キロも離れた海外の漁場で長期間(数週間〜数ヶ月)にわたって操業する漁業です。
使用する漁船は大型で、設備も充実しており、乗組員の生活スペースも確保されています。
対象となる魚介類は、カツオ、マグロ、サケ、タラなど国際的に流通する高級魚が多く、海外市場を見据えたビジネス展開も行われています。
高収入を目指せる一方、乗船期間が長いため、家族との時間や健康管理も課題となります。
対象魚種と漁場の違い
それぞれの漁業種類によって、狙う魚介類や漁場の広さ、海の環境が大きく異なります。
たとえば、沿岸漁業では潮の流れや水温が魚の動きに直結するため、地域の海の知識が重要です。
沖合・遠洋漁業では、回遊パターンや海流を把握するために、GPSや魚群探知機などのテクノロジーの活用が進んでいます。
どんな人が漁師に向いている?

自然が好き、体を動かすのが好きな人
漁師の仕事は自然と密接に関わります。天候や海の状況に左右される日々ですが、それを「面白い」と感じられる人には向いています。
じっとしているよりも体を動かす方が好きな人にも最適な職業です。
地道な作業をコツコツこなせる人

漁業には漁具の準備や船の点検、網の手入れなど、一見地味な作業も多くあります。
こうした作業をコツコツこなせるタイプは、信頼される漁師になれる素質があります。
チームワークを大切にできる人
漁は複数人で行うことが多く、チームでの連携が欠かせません。仲間との信頼関係や、協力して作業を進める姿勢が求められます。人とのつながりを大事にする人にもぴったりです。
新しいことを学ぶ姿勢がある人
漁業の世界にもICTやGPSなどの新技術が導入されつつあります。時代に合わせて学び続けられる柔軟さは、これからの漁師に欠かせない資質です。
まとめ:漁師は「きつい」だけじゃない。生き方としての選択肢に

漁師という仕事は、確かに体力が必要で大変な面もあります。 しかし、自然とのふれあい、成果の実感、地域とのつながりといった他の仕事にはない魅力が詰まっています。
未経験からでも目指せる道があり、多様な人が活躍する現場に変わりつつある今、漁業は新たなキャリアの選択肢になり得ます。
自然と向き合い、地域と共に生きる生き方。そんな漁師の魅力を、ぜひ一度感じてみてください。