現場での事故やヒヤリハットを未然に防ぐために、多くの企業で取り組まれている「危険予知(KY)活動」。
中でもKYシートの記入は、日々の業務に潜むリスクを可視化し、具体的な対策を考える重要なステップです。
しかし実際には、
「何を書けばいいの?」
「書き方が分からない」
「例文を見たい」
と悩む方も少なくありません。
本記事では、KY活動の基本的な考え方から、KYシートの書き方・記入例・フォーマット付きの練習問題まで、実践で使えるノウハウをわかりやすく解説します。
現場で活用できるテンプレートも無料公開していますので、すぐに使いたい方もぜひご活用ください。
危険予知とは?現場で求められる“想像力”

「危険予知(Kiken Yochi/KY)」とは、作業を始める前にどんな危険が潜んでいるかを予測し、事前に共有するための活動です。
一見安全に思える作業でも、現場の環境や天候、作業員の状態によってリスクは大きく変化します。
たとえば──
- 足場が濡れていた
- 重機の死角に作業員が入り込んでいた
- 疲労がたまり、集中力が落ちていた
こうした“見えにくい危険”をあらかじめ想像して話し合うことが、事故を未然に防ぐ第一歩になります。
KY活動は「経験」より「気づき」が重要
ベテラン作業員でも、すべてのリスクに気づけるわけではありません。
むしろ、「慣れ」が油断を生む要因になることも多くあります。
KY活動では、「どんなに小さなことでも構わないので、危険を挙げる」「他人の気づきを拾う」といったチーム全体での気づきの共有が重要です。
作業者の体調や心理状態も、危険要因のひとつ
危険予知では、「現場の状況」だけでなく、作業にあたる“人の状態”にも目を向ける必要があります。
たとえば──
- 前日の疲労や寝不足で、集中力が低下している
- 慣れた作業により、油断や判断ミスが起きやすくなっている
- 新人や応援作業員が入り、緊張や連携不足が起こりやすい
このように、“その日、その場にいる人”の体調や心理状態もリスクの一部です。
だからこそ、「調子の悪い人はいないか?」「不安を抱えている人はいないか?」といった観点で、チーム全員の状態を確認する視点がKYの本質だといえます。
危険を“見える化”するKYシートの活用
危険予知は声に出すだけでなく、書き出すことでさらに効果的になります。
KYシートに記入することで、リスクが整理され、より具体的な対策や行動に落とし込むことが可能になります。
本記事では、KYシートのフォーマットや記入例、トレーニング用の例題も用意していますので、ぜひ参考にしてください
KYシートとは?危険を「共有・可視化」するツール

KYシート(危険予知シート)とは、現場作業に潜むリスクを事前に書き出して整理・共有するための記録用フォーマットです。
多くの現場では、作業前のKYミーティングでこのシートを活用し、「どんな危険があるか」「どう対策するか」を可視化しています。
なぜ“書く”必要があるのか?
声に出して共有するだけでも効果はありますが、書き出すことで以下のようなメリットがあります。
- 作業ごとの危険や対策が整理される
- 他のメンバーと情報を共有しやすくなる
- 過去の記録を残すことで、再発防止につながる
- 安全意識を「自分ごと」として捉えやすくなる
つまり、KYシートは“気づき”を行動につなげるためのツールであり、ただの書類ではありません。
書式は現場に合わせてOK
KYシートの形式は現場や業種によって異なりますが、一般的には以下のような項目が含まれます。
- 作業内容
- 想定される危険
- 危険のレベル(重大性・頻度など)
- 具体的な対策
- 担当者や確認者の記名欄
表形式で記入することが多いですが、チェックリスト型や手書きの自由記述形式など、現場の運用に合ったスタイルでカスタマイズされることが多いです。
次のパートでは、KYシートをどう書くべきか、注意点やコツを含めて「書き方の基本」を解説します!
KYシートの書き方【基本編】|具体例と記入のコツも解説

KYシート(危険予知シート)を記入する際は、「具体的に・現場に即して」書くことが最も重要です。
「とりあえず“気をつけよう”と書いておけばOK」では、危険の見落としや、行動につながらない対策になってしまいます。
ここでは、KYシートの記入時に押さえておきたい3つの基本と、よくあるNG・OK例をご紹介します。
状況は「いつ・どこで・何をするか」まで具体的に
NG例:「高所作業」
→ 作業内容がぼんやりしていて、他の人が見ても状況がイメージしにくい。
OK例:「3階建て建物の足場で、資材を肩に担いで運ぶ」
→ 作業位置・動作・対象物がわかり、危険がイメージしやすい。
想定される危険は「目に見えないリスク」まで意識
NG例:「ケガの恐れあり」
→ どんなケガ?どこで?が伝わらない。
OK例:「足場の板が濡れており、滑って転倒する恐れがある」
→ 原因・場所・結果までが明確。
対策は“行動に移せる”内容にする
NG例:「気をつける」「注意する」
→ 抽象的すぎて、どうすればいいかわからない。
OK例:「作業前に足場の板の状態を全員で確認し、滑り止めマットを敷設」
→ 具体的で再現性があり、指示として機能する。
書き方のコツまとめ
- 他の人が見ても「状況が浮かぶ」くらい具体的に
- 危険は“見えてないリスク”まで拾い上げる
- 対策は“誰が・何をするか”まで書く
このように具体的に記入することで、チーム全体の安全意識が高まり、ミスや思い込みによる事故を防ぐことができ、結果として現場全体のリスク管理レベルが向上します。
次は、実際に使えるKY記入例と、現場でそのまま使えるフォーマットを紹介します。
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KYシート記入例とテンプレート【建設・土木現場・一次産業にも対応】

KYシートをうまく活用するには、「実際にどのように書けばいいのか?」を具体的にイメージすることが大切です。
ここでは、建設・土木現場や製造業などでよく使われるKYシートの記入例を紹介します。
さらに、そのまま現場で使えるKYシートのテンプレートも無料公開中。安全ミーティングやKY活動にすぐ活用できます。
記入例は土木・建設業をはじめ、清掃、施設管理、運送業などさまざまな現場で応用できます。
KYシートの記入例
状況 | 想定される危険 | 危険度 | 対策 |
---|---|---|---|
3階建て足場で資材を運搬する作業 | 足場が濡れていて、滑って転倒する恐れがある | 高 | 作業前に足場の状態を全員で確認し、滑り止めマットを敷設 |
炎天下でのコンクリート打設作業 | 熱中症による意識障害・転倒 | 中 | 1時間ごとに水分・塩分補給/冷却グッズの持参を確認 |
高所作業での電動工具使用 | 工具の落下による第三者への衝突 | 高 | 作業中は落下防止用のコードを装着/下に人がいないことを確認 |
道路工事の掘削作業(※土木作業) | 掘削中の土の崩れ・転倒・埋没の恐れ | 高 | 土止め材の設置/作業前に土質・水分状態を確認/誘導員配置 |
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危険予知トレーニングのやり方【例題・KYTステップつき】

KY活動は、毎日の積み重ねが事故防止に直結しますが、
「ネタ切れで内容がマンネリ化している」「なんとなく実施しているだけ」
といった課題を感じている現場も少なくありません。
そんなときにおすすめなのが、危険予知トレーニング(KYT)の導入です。
定期的なトレーニングを通じて、“危険に気づく力”と“共有する力”を磨くことができます。
KYT(危険予知トレーニング)とは?
危険予知トレーニング(KYT)とは、現場の写真や図解、作業シナリオなどをもとに「どんな危険が潜んでいるか?」を考える訓練です。
道具は不要で、チームで話し合う形式も、一人で考える形式も可能。
建設現場や土木作業はもちろん、清掃・製造・施設管理など幅広い現場で活用されています。
KYT実施の基本ステップ(例)
- 危険が潜んでいそうな現場写真やイラストを用意する
- グループまたは個人で「どんな危険があるか?」を洗い出す
- 危険ごとに「どのように対策すべきか」を考える
- KYシートに記入して、チームで共有する
危険予知トレーニングの例題(そのまま使える!)
例題:構内での清掃作業中の場面

- バケツの水がこぼれ、床が濡れている
- 「清掃中」の立て看板が設置されていない
- 清掃用具が通路に散乱している
→ どんな事故が起きそうか?どう防げるか?
現場のスタッフ全員で話し合い、具体的な対策を出し合いましょう。
トレーニングを続けるコツ
- 新人教育の一環として導入しやすい
- 朝礼後の5分を使って週1回の習慣に
- ヒヤリハット事例や厚労省の災害事例をネタにするのも効果的
危険を予測する力は、「訓練」で確実に伸ばすことができます。
KYTは、事故を未然に防ぐ“安全の筋トレ”とも言える重要な時間です。
まとめ:KY活動は「気づき」と「共有」で現場を守る

KY活動やKYミーティングは、特別な道具や難しい知識がなくても始められるシンプルで効果的な安全対策です。
大切なのは、「やること」そのものではなく、どれだけ現場に即した内容か、どれだけ行動に落とし込めているかという視点です。
作業前に「どんな危険があるか」を考え、共有し、具体的な対策を話し合うこと。
そして、声に出し、書き出すことで“危険を見える化”すること。
これを日々積み重ねていくことで、現場の安全レベルは確実に向上します。
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